Happy Birthday

イギリスから帰ってきた中川は、いの一番に外部から天真桜病院にいるはずの司馬に電話をかけた。
彼はいた。それもそのはず。彼は今日は夜勤だ。
電話に出た司馬は相変わらず冷たい声だったが、その声が中川を喜ばせる。
「今日、お誕生日だったよね。おめでとう。11時頃に屋上に」と、そう手短に伝えて中川は急いだ。
切る直前にも伝える。「おめでとう」と。

・・・

司馬は屋上で彼を待つ。時計に目をやるが約束の時間から5分過ぎた。
研ぎ澄まされた空気を肌身に感じながら、ベンチに座り待つ。
神経は常に後方のドアにあり、そのドアが開くことを今か今かと心待ちにしながら。

・・・

ドタバタと音を立てながらついにその時が来た。
しかしあえて司馬は振り向かずに待つ。

「お誕生日おめでとう」

司馬の隣に座りながらトランクケースをベンチ脇に置き、司馬の腰を抱き寄せる。

「ありがとうございます。それからおかえりなさい。イギリスのクランケはどうでした?」

笑いながら司馬は答えると、中川は嬉しく思う。無愛想でありながら、常に患者のことを考える司馬らしい発言だったからだ。

「あぁ、ただいま。大丈夫だよ。なんせ私が数年前に手がけたクランケだ」

伝えると司馬は目を輝かせた。
その患者は世界中から指名をもらっていた中川が、海外で最後に手がけた患者でイギリスの資産家だった。
もう2年も前のことになる。
当時も無事手術が成功して中川に送られた賛辞を耳にして目を輝かせた。
その目を中川は今も覚えていて、あの一件があった以降、思えば初めて見せる表情だった。
そうだ、彼はこんな風に私を見ていた。
そう思うと目の前の司馬が愛しくて愛しくてたまらない。
抱き寄せた腕に力がこもる。

「司馬くん、お誕生日おめでとう」

さすがに司馬は笑った。肩を揺らして笑いながら問う。優しい声。

「今日何度目ですか?」

特徴的な耳が少し赤くなったのを中川は見逃さなかった。

「何度だって言うさ。おめでとう、好きだよ」

そう言ってキスをする。優しくて甘いキスを司馬は忘れないでおこうと決めて、中川の体温を感じ取った。

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今日は司馬のお誕生日!!
おめでとう❀.(´◡`)❀.
なんておめでたい!!

恐らく、この日司馬は相変わらず自分の誕生日ということを一切匂わせず、例えば沢子が「今日は司馬先生のお誕生日なの」って皆に伝えて控え気味に皆が祝う形だと思う。
石川も司馬を祝うと良いな。
司馬はそれをただ受け取る。
沢子からの言葉は、一瞬受け入れようとしてやっぱり拒絶してしまいそうだ。

お誕生日おめでとう゜.+.(♥´ω`♥)゜+.゜

一方で中川からの言葉は司馬の心身に深く浸透していって彼を喜ばせると良い。
自惚れないようにしよう、と思いつつも徐々に溺れていく感じ。
むふふっ、司馬ってかわいい♡

お誕生日おめでとう☸ヾ(。╹ω╹。)ノ☸″フリフリ

司馬がこんな風に笑う絵は初めて描きました。もう例えそれが妄想の中でも楽しくて嬉しくて!

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